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ライム病

クリス・メレティス自然療法学博士

米国立環境健康科学研究所(NIEHS)の月刊誌『Environmental Health Perspectives』(環境健康展望)のオンライン版(ehp.niehs.nih.gov)によると、アジア地域における過去10年間のライム病発症件数は、年間約3450件であったと報告されています。

ライム病に関する基本的な情報は次の通りです。

  • ライム病はダニを媒介とする感染症であり、ライム病患者との性交渉によりヒトからヒトへと感染することもある。
  • ライム病は母親から胎児に胎内感染することがある。
  • ライム病の典型的な症状として知られる環状紅斑は、実は患者の60~90パーセントにのみ現れる。そのため、紅斑が見られない場合にもライム病を発症している可能性がある。
  • ライム病を発症すると、線維筋痛症、筋萎縮性側索硬化症(別名:ルー·ゲーリック病)、うつ病、慢性疲労症候群などの疾患に似た症状が現れることがある。

ライム病とは

ライム病は、スピロヘータと呼ばれる螺旋状の形態をした細菌の一種、ボレリア・ブルグドルフェリの感染によって引き起こされる感染症です。また、スピロヘータには、神経系に障害を及ぼす疾患である梅毒を発症させる種類もあります。

なおライム病の発症件数は、乳ガンの発症件数の約2倍、後天性免疫不全症候群(AIDS)の約6倍と、これらの疾患の発症件数を大幅に上回っています。

感染経路

米国では20年程前に比べて、病原体を保有するダニがより多くの州で見つかるようになっています。たとえば、ライム病の感染リスクが比較的低いとされているオレゴン州およびワシントン州に居住し、州外への旅行歴がない人が、それぞれ神経科医により筋萎縮性側索硬化症だと診断されたにも関わらず、後日それが誤診であり、ライム病を発症していると判明、治療により症状が改善したというケースも2件報告されています。

また、ライム病患者の膣分泌液および精液を検体とした、ライム病の性感染に関するある研究では、女性被験者全員および男性被験者の約半数の検体にボレリア・ブルグドルフェリの陽性反応が認められたという結果が報告されています。

ライム病と診断されていない可能性は

「ライム病を発症しているなら、医師の診断を受けた際に分かるはず」とお考えの方もいるかもしれません。しかし現実には、決してそうとは限らないことを覚えておきましょう。2004年に米国医師会発行の医療誌『Archives of Dermatology』(アーカイブス・オブ・ダーマトロジー)(現『JAMA Dermatology』)に掲載された報告によると、アンケート調査の対象となった医師の72パーセントが、ライム病による皮膚の赤斑とその他の原因による発疹を正確に区別することができなかったと伝えられています。

一般的な症状

米国疾病予防管理センター(CDC)のウェブサイト(英語)によると、ライム病の症状には次のようなものがあります。

早期症状(マダニの刺咬より数日~数週間)

病原体に曝露後、24時間以内に抗生物質による治療を開始すれば、感染部位から身体の他の部位に菌が拡散するリスクを低減できます。

ライム病の感染初期および播種期に現れる症状は次の通りです。

  • 紅斑
  • ベル麻痺(顔面筋の委縮)
  • 頭痛、肩こり
  • 関節痛
  • 睡眠時の突き刺すような痛み
  • ライム病誘発性心臓炎に起因する動悸
  • 眩暈

安心できない、一時的な症状の緩和

上記の症状は、放置していても、数週間から数か月後に緩和されたり、収まる場合があります。しかし、これは決して疾患の完治を意味するものではなく、実は身体の他の部分に広がっている可能性があるのです。したがって、身体に何らかの異変を感じたら、すぐに医師の診断を受けるよう、日頃から心掛けることが大切です。

晩期症状

未治療または不完全な治療のままに経過すると、感染から数か月から数年後、約60パーセントの割合で、関節炎、関節痛、腫れなどの慢性症状が現れます。さらに、これらの患者の最大5パーセントには、ライム病との関連性がないように思われる、痺れ、ヒリヒリ感、記憶障害、痛み、脱力感などの慢性神経症状が見られることがあります。

脳への感染

ボレリア・ブルグドルフェリは髄液から検出された例もあり、病原体に曝露後、早ければ18日間で脳を含む中枢神経系がライム病に感染する可能性があります。

ライム病の未治療患者のうち、最大15パーセントが神経症状を発症すると推定されています。また特筆すべきは、250本以上にものぼる科学論文において、ライム病その他のマダニ媒介性疾患と、うつ病との関係性が示されているという点です。さらに、ライム病に対する遺伝的感受性が高い人が出生前期に感染した場合、生後、統合失調症に似た症状を呈する可能性があることを示す科学的根拠も発表されています。

特定の検査に依存しない

ライム病の診断を確定するのは、容易なことではありません。一部の患者は、一般的な検査の1つ以上の項目が陰性(非感染)と出たにも関わらず、より精密な検査を受けた後に陽性と判明しています。これは、細菌は細胞の内部に潜んでおり、一般的な検査で検出されないことがあるのが理由ですが、これはまた、1種類の検査結果に依存すべきではないことも意味します。医師に相談の上、必要に応じて複数の検査から構成されるより総合的な検査を受けることをお勧めします。

ライム病の治療法

ライム病の治療は、抗生物質の投与による方法が一般的です。これは、病原菌であるボレリア・ブルグドルフェリに、ペニシリン系、テトラサイクリン系、マクロライド系抗生物質などの抗菌薬が比較的よく効くためです。しかし治療はそう簡単なものではなく、根本から治癒するには、経験豊富な専門家によって処方された適切な抗生物質を長期間に渡って使用する必要があります。

まとめ

「筋萎縮性側索硬化症」と診断された後に、ライム病への罹患が判明することがあるのを覚えておきましょう。もちろん、「筋萎縮性側索硬化症と診断を受けた患者は必ずライム病を発症している」ということはありませんが、慢性症状や神経症状などが見られる場合には、ライム病を発症していないか確かめてみることが大切です。

参考文献:

  • Bransfield, R. (2011, May). 2nd International Lyme and associated diseases society European meeting. Augsburg, Germany.
  • Bransfield, RC. (2012). Open Neurol J., 6, 88-93.
  • Donta ST. (2012). Open Neurol J., 6, 140-5.
  • Yang L, et al. (1994, Feb). Infect Immun., 62(2), 492-500.
  • Silver RM, et al. (1995). Infect Immun., 63, 66-72.
  • Carter CJ. (2011, May 26). J Pathog., 2011:128318.
  • Archives of Dermatology (2004). 140(5), 620-2.

 

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